連日、性暴力記事ですが（そういえば昨年も2月はそんな記事が多く）映画『バハールの涙』を観て、片目の戦場ジャーナリスト・マチルドの言葉に背中を押されます。「みんな平和な将来や夢しか見たがらない。でも起こっていることを伝える。ペンで闘う」(意訳です）産後女性と接していて産後うつや産後クライシスの大きな要因にジェンダーギャップがあります。ISISのことは遠い世界のことのようで、決して別世界ではないんです。
とくに性暴力は体への傷と違って、魂を傷つけられるので完治は絶対ないんです。魂を傷つけられているので、相談や治療に行けない人もたくさんいるんです。勇気をもって発信しても「お前に隙があったのでは？」更なる心ない言葉で傷つけられることも多くあります（セカンドレイプ）。なかったことにしないために、発信は続けていきます。男性陣は読みたくないかもしれませんが、あなたの娘(息子も）が、パートナーがおかれている状況と思ってみてください。
さて映画『バハールの涙』の主人公は「ナディアの誓い」と同じくイラクのクルド人の中で少数民族であるヤズィディ教徒であり、弁護士として（多分）裕福な生活をしていたバハール。夜中に突然ISの襲撃にあい、夫を目の前で銃殺され（ラストガールで読んでいたものの、やはり映像の力はすごく、辛すぎました）、10歳くらいの読書好きで外遊びが苦手な息子（！）はさらわれ兵士訓練に。その後バハールも性奴隷にされ、一緒にとらわれた妹はその辛さから目の前で自殺を。
バハールは立ち上がりクルド人女性武装部隊を結成。のちの「太陽の女たち」で戦い、その知性と勇気でリーダーになる。ちなみに部隊名は仏語Les femmes du soleilとfemmes＝女達なんだけど映画原題はLes filles du soleilとfilles＝少女達になっている。戦場ジャーナリストマチルドのモノローグによると「女」って一括りにしてるけど、たくさんの少女、子ども達、か弱き存在が犠牲になってる…っていうのを意図しているようです。
ISは「女に殺されると天国にいけない」←なんだそりゃ💢！？しかも女性たちの子どもを救おうという怖いもの知らずさには怖れをなしている。「太陽の女たち」は恐れられているんです。職業柄もう一つだけ、もっともしんどい出産シーン。無事でよかった😹 上映関数は少ないのですが是非！
【映画.comより】
「パターソン」のゴルシフテ・ファラハニが、捕虜となった息子の救出のためISと戦うこととなったクルド人女性を演じるドラマ。「青い欲動」のエバ・ウッソン監督が、自らクルド人自治区に入り、女性戦闘員たちの取材にあたって描いた。弁護士のババールは夫と息子と幸せな生活を送っていたが、ある日クルド人自治区の町でISの襲撃を受ける。襲撃により、男性は皆殺しとなり、バハールの息子は人質としてISの手に渡ってしまう。その悲劇から数カ月後、バハールはクルド人女性武装部隊「太陽の女たち」のリーダーとして戦いの最前線にいた。そんなバハールの姿を、同じく小さな娘と離れ、戦地で取材を続ける片眼の戦場記者マチルドの目を通して映し出していく。2018年・第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品作品。
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